CM関節症の治療についての論文
皆さん、CM関節症という病気をご存知ですか?
中高年の女性に多く、親指の付け根が痛くなる病気で、変形性関節症の一種です。
年齢や使いすぎによる軟骨の摩耗が親指の付け根のCM関節という部分に起こってしまい、動かす時などに痛みを生じます。
実は、僕自身も勤務医時代にここの関節炎を繰り返しており、自分で注射などをしていました。
そんなCM関節症に対しても、当院で行なっている動注治療が有効だという論文が出ておりましたので要約します。
CLINICAL STUDY Intra-Arterial Infusion of Imipenem/Cilastatin Sodium through a Needle Inserted into the
Radial Artery as a New Treatment for
Refractory Trapeziometacarpal Osteoarthritis Shohei Inui, MD, Shu Yoshizawa, MD, Takanori Shintaku, MD,
Takao Kaneko, MD, PhD, Hiroyasu Ikegami, MD, PhD, and
Yuji Okuno, MD, PhD
親指の関節痛をやわらげる新しい治療法!
研究の目的
親指の付け根(母指CM関節)が痛くなる「母指CM関節症」に対し、新しい治療法を試しています。 この治療では、手首の動脈(橈骨動脈)から薬を注入して、痛みの原因となる異常な血管をふさぐことで、症状を改善できるかを調査しています。
方法
対象者:31人の患者(6か月以上痛みが続き、3か月以上のリハビリなどでも良くならなかった患者)
<治療方法>
- 1. 細い針(24G)を手首の動脈に挿入
- 2.「イミペネム/シラスタチンナトリウム」という薬を注入し、痛みの原因となる血管を一時的にふさぐ
・ 痛みの変化(NRSスコア) → どれくらい痛みが減ったか?
・ 手の使いやすさ(QuickDASHスコア) → どれくらい楽になったか?
・ 患者さんの満足度(PGICスケール) → 「良くなった」と感じる人の割合
結果
成功率は100%(全員が治療を受けられた)
治療時間は約3分(とても短い時間で完了)
痛みの変化(NRSスコア)
7.2(かなり痛い) → 2.5(ほぼ痛くないレベル)に大幅改善に改善を認めた
・ 2か月後:3.1
・ 6か月後:2.8
・ 24か月後:2.5
手の使いやすさ(QuickDASHスコア)
49.2(かなり不自由) → 19.5(相当の改善を認めた)
・ 2か月後:22.1
・ 6か月後:20.9
・ 24か月後:19.5
患者さんの満足度(PGICスケール)
「良くなった!」と感じた人の割合
・ 2か月後:84%
・ 6か月後:81%
・ 24か月後:77%
副作用や危険な問題はなかった。
結論(この治療はどうだったか?)
・ 短時間(3分)で可能。
・ 手術なしで痛みが大幅に改善!
・ 効果は2年以上続き、患者さんの満足度も高かった。
この治療法は、親指の関節の痛みで悩んでいる人にとって、新しい希望になるかもしれません。
当院でも動注療法が可能で、すでにCM関節症の治療やへバーデン結節での動脈注射治療で改善した患者さんが多くいらっしゃいます。多くの患者さんが効果を実感していただけており、患者さんにとって一つの治療の選択肢になっていると思います。
ご興味のある患者さんは、是非ご相談ください。